小規模企業共済は本当に節税?月7万円で年84万円控除。ただし20年未満の解約には注意【2026年版】
個人事業主や小さな会社の経営者が節税について調べると、かなりの確率で出てくるのが、
小規模企業共済
です。
よく見る説明は、
月7万円まで掛けられて、全額所得控除。
というもの。
年間にすると、
最大84万円。
かなり大きな所得控除です。
これだけ見ると、
個人事業主なら入らない理由ないんじゃない?
と思ってしまいます。
ただ、小規模企業共済にはかなり重要な注意点があります。
任意解約の場合、掛金納付期間が20年未満だと受取額が掛金総額を下回る可能性があります。
さらに、掛金を払ったときは所得控除になりますが、将来受け取るお金が完全に非課税になるわけでもありません。
つまり、
「84万円控除される=84万円得する」ではありません。
それでも制度を理解して使えば、個人事業主や小規模法人の社長にとってかなり使いやすい制度だと思います。
今回は2026年9月時点の中小企業基盤整備機構・国税庁の情報をもとに、
- 小規模企業共済とは何か
- いくら所得控除できるのか
- なぜ節税になるのか
- 20年未満で解約するとどうなるのか
- 受取時に税金はかかるのか
- 法人化したらどうなるのか
- 1人法人の社長も入れるのか
まで整理してみます。
- 小規模企業共済とは?
- 掛金はいくら?
- この84万円が全額所得控除になる
- 「84万円税金が安くなる」ではない
- 節税額は人によって違う
- 中小機構の例ではどのくらい?
- 個人事業主なら経費になる?
- 1人法人の社長も加入できる?
- ただし法人の経費にはならない
- 法人化して役員報酬をもらう人とは相性がいい
- 小規模企業共済の最大の注意点|20年未満の任意解約
- 20年未満なら元本割れする
- 12か月未満の任意解約はさらに厳しい
- じゃあ月7万円満額はやめた方がいい?
- 掛金は後から減額できる
- ただし増額・減額にも注意点がある
- 廃業なら20年未満でも同じ?
- 小規模企業共済は長期間持つ前提の制度
- 受け取るときは非課税?
- 一括受取なら退職所得扱いになるケースがある
- 分割受取なら公的年金等の雑所得
- 任意解約の場合は年齢でも変わる
- 「節税」というより税金を将来へ移す面もある
- それでも有利になりやすい理由
- 会社員の退職金と重なる場合は注意
- 掛金を払うと手元のお金は減る
- ただし契約者貸付制度がある
- 銀行預金とは考えない方がいい
- 法人成りしたら一度解約する?
- 個人事業主→会社役員でも継続できる場合がある
- 法人化を考えている人ほど先に確認した方がいい
- 小規模企業共済のメリットをまとめると
- 逆にデメリットは?
- 小規模企業共済に向いている人
- 逆に慎重に考えた方がいい人
- 「節税できるから満額」は危険
- 「税金を払う=損」ではない
- それでも余剰資金があるならかなり有力
- iDeCoとどっちがいい?
- 小規模企業共済と経営セーフティ共済も別物
- 結局いくら掛ければいい?
- 満額7万円を検討する目安
- 年末にまとめて払えば今年の控除にできる?
- 利益が出てから年末に考える人が多い理由
- 小規模企業共済を検討するときのチェックリスト
- 「小規模企業共済=節税商品」だけでは説明不足
- まとめ|余剰資金がある経営者には強い。ただし短期節税目的では使わない
小規模企業共済とは?
小規模企業共済は、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営している制度です。
かなり簡単に言えば、
個人事業主や小規模企業経営者が、自分で作る退職金制度。
です。
会社員なら会社から退職金をもらえる場合があります。
でも個人事業主には基本的に退職金がありません。
1人会社の社長でも、自分で準備しなければ退職金はありません。
そこで現役時代に毎月お金を積み立てておき、廃業や退職などのタイミングで受け取る仕組みです。
掛金はいくら?
2026年9月時点の掛金は、
月額1,000円〜70,000円
500円単位で設定可能
です。
最大の7万円なら、
70,000円 × 12か月 = 840,000円
年間84万円を積み立てることになります。
この84万円が全額所得控除になる
小規模企業共済の一番大きな特徴です。
支払った掛金は、
小規模企業共済等掛金控除
として、その年の所得から控除できます。
例えば年間84万円支払ったなら、原則として84万円が所得控除の対象になります。
生命保険料控除のように「上限4万円」という制度ではありません。実際に支払った小規模企業共済の掛金全額が控除対象です。
「84万円税金が安くなる」ではない
ここはものすごく大事です。
年間84万円を掛けたからといって、
税金が84万円安くなる。
わけではありません。
減るのは課税対象となる所得です。
例えば単純化して、課税対象となる所得が500万円だった人が84万円控除を受けると、
500万円 − 84万円 = 416万円
という考え方になります。
その減った所得に応じて、所得税・住民税の負担が軽くなります。
節税額は人によって違う
所得税は所得が高くなるほど税率が高くなる累進課税です。
そのため同じ84万円の所得控除でも、所得によって実際の税負担軽減額は変わります。
所得が低い人
→ 節税効果は比較的小さい
所得が高い人
→ 節税効果は大きくなりやすい
「小規模企業共済に入れば○万円得する」と一律では言えません。
中小機構の例ではどのくらい?
中小企業基盤整備機構が公開している節税額の参考例では、課税される所得金額が400万円で月7万円を掛けた場合、年間の税額軽減額は約24万円という試算が掲載されています。
ただしこれは一定の税率を前提とした参考例です。
実際の税額は、
- 所得
- 社会保険料
- 扶養
- その他の所得控除
- 自治体
などによって変わります。
「月7万円入れれば必ず24万円節税」ではありません。
個人事業主なら経費になる?
ここも勘違いしやすいところです。
小規模企業共済の掛金は、
事業の必要経費ではありません。
確定申告で所得から差し引く、
所得控除
です。
経費
= 事業所得を計算するときに差し引く
小規模企業共済
= 所得を計算した後の所得控除
最終的に所得税を減らす効果はありますが、会計上は同じものではありません。
1人法人の社長も加入できる?
一定の要件を満たす小規模企業の役員なら加入できます。
つまり、
1人法人の代表取締役でも、加入要件を満たしていれば小規模企業共済を利用できます。
これは法人化を考えている人にとって結構大きなポイントです。
個人事業主だけの制度ではありません。
ただし法人の経費にはならない
会社の社長が加入した場合も重要です。
小規模企業共済は、
社長個人が加入する制度
です。
会社が掛金を経費として払う制度ではありません。
基本的には役員報酬などとして受け取った個人のお金から掛金を払い、社長個人の所得控除を受けます。
会社
↓
役員報酬
↓
社長個人
↓
小規模企業共済
↓
個人の所得控除
法人化して役員報酬をもらう人とは相性がいい
1人法人にすると、社長は会社から役員報酬を受け取ります。
役員報酬は給与所得として個人に課税されます。
そこで小規模企業共済へ加入すれば、その個人所得から掛金を控除できます。
つまり、
会社側
役員報酬を損金算入
個人側
小規模企業共済の掛金を所得控除
という形になります。
もちろん役員報酬額や法人利益、社会保険などまで含めて設計する必要がありますが、小規模法人の経営者が使いやすい制度のひとつです。
小規模企業共済の最大の注意点|20年未満の任意解約
ここからが重要です。
小規模企業共済は、銀行預金のように、
必要になったから解約して全部返してもらう。
という使い方には向いていません。
中小企業基盤整備機構によると、任意解約時の解約手当金が掛金総額以上になるのは原則、
掛金納付月数240か月以上。
つまり、
20年以上です。
20年未満なら元本割れする
公式に掲載されている月額1万円の例を見ると、任意解約した場合は次のようになっています。
| 加入期間 | 掛金合計 | 解約手当金 |
|---|---|---|
| 5年 | 60万円 | 48万円 |
| 10年 | 120万円 | 102万円 |
| 15年 | 180万円 | 166.5万円 |
| 20年 | 240万円 | 240万円 |
5年で解約すれば、
60万円払った ↓ 48万円
になります。
12万円の元本割れです。
12か月未満の任意解約はさらに厳しい
掛金納付月数が12か月未満で任意解約した場合、解約手当金はありません。
つまり場合によっては、
掛け捨て
になります。
「節税になるらしいから、とりあえず満額7万円」ではなく、長期的に継続できる金額を設定した方が安全です。
じゃあ月7万円満額はやめた方がいい?
これも人によります。
例えば毎月かなり余裕があり、
- 生活防衛資金が十分ある
- 事業資金にも余裕がある
- 長期間継続する予定
- 所得が高く控除メリットも大きい
なら、月7万円は有力です。
一方、
- 手元資金が少ない
- 売上が安定していない
- 近いうちに大きな投資予定がある
- 借入返済が多い
なら、無理に満額へする必要はないと思います。
掛金は後から減額できる
小規模企業共済の掛金は、加入後も変更できます。
最低月額1,000円まで減額可能です。
例えば、
好調なとき
月70,000円
↓
資金繰りが厳しくなった
月10,000円
という変更もできます。
そのため、完全に解約する前に掛金を下げるという選択肢があります。
ただし増額・減額にも注意点がある
中小機構では、途中で掛金を増額・減額した場合、掛金区分ごとに納付月数を計算すると説明しています。
そのため加入全体では20年以上経過していても、増額部分の納付期間が20年未満の場合などには、任意解約時の受取総額が掛金総額を下回ることがあります。
「加入から20年経てば何をしていても絶対元本保証」という単純な仕組みではありません。
廃業なら20年未満でも同じ?
ここも大きなポイントです。
小規模企業共済では、
なぜ受け取るのか
によって金額が変わります。
個人事業主が事業を廃業した場合などは、任意解約とは違い共済金Aに該当する場合があります。
公式の月1万円の例では、5年間掛けた場合、
掛金総額:600,000円 共済金A:621,400円
となっています。
「20年未満なら必ず元本割れ」ではなく、「20年未満で任意解約すると元本割れする」という点が重要です。
小規模企業共済は長期間持つ前提の制度
つまり小規模企業共済は、
今年節税したい。
だけで加入する制度ではありません。
本来は、
現役中に積み立てる
↓
所得控除を受ける
↓
廃業・退職まで保有
↓
退職金として受け取る
という制度です。
受け取るときは非課税?
いいえ。
ここも「節税」という言葉だけを見ると勘違いしやすい部分です。
小規模企業共済は、受け取るお金がすべて非課税になる制度ではありません。
受取方法や年齢などによって税務上の扱いが変わります。
一括受取なら退職所得扱いになるケースがある
共済金や準共済金を一括で受け取る場合、原則として退職所得として扱われます。
退職所得には退職所得控除があります。
そのため通常の給与や事業所得とは違う有利な課税方法を利用できる場合があります。
現役中
→ 掛金を所得控除
退職時
→ 退職所得として受取
ここまで含めて小規模企業共済の税制メリットです。
分割受取なら公的年金等の雑所得
一定の条件を満たして共済金を分割で受け取る場合は、
公的年金等の雑所得
として扱われます。
一括受取と分割受取の併用もできますが、それぞれ税務上の扱いが異なります。
任意解約の場合は年齢でも変わる
任意解約の場合も税務上の扱いが一律ではありません。
中小企業基盤整備機構によると、
65歳以上で任意解約
→ 退職所得扱い
65歳未満で任意解約
→ 一時所得扱い
など、受取条件によって違いがあります。
実際に解約・受給するときは、その時点の制度と税務処理を確認した方がいいでしょう。
「節税」というより税金を将来へ移す面もある
小規模企業共済について、
払った分全部控除になるから最強の節税。
という説明を見かけます。
確かに現役中の所得税・住民税を減らせるのは大きなメリットです。
ただし将来受け取るときには課税関係が生じます。
そのため正確には、
現役中の所得を圧縮し、将来、退職所得など比較的有利な課税方法で受け取れる可能性がある制度。
と考えた方が分かりやすいと思います。
それでも有利になりやすい理由
例えば事業が好調な40代・50代。
所得が高く、税率も高い。
この時期に所得控除を使う。
そして引退後、所得が減ったタイミングで受け取る。
さらに一括受取なら退職所得控除を利用できる可能性があります。
所得が高い現役時代
税負担を軽減
↓
引退後
退職所得として受取
この構造が小規模企業共済の強さです。
会社員の退職金と重なる場合は注意
法人経営者の場合、自分の会社から役員退職金を受け取る可能性があります。
そこへ小規模企業共済の一括受取も重なると、退職所得控除との関係を考える必要が出てきます。
退職所得に関する税制は受取時期などによって扱いが変わるケースがあります。
役員退職金が大きい場合は、小規模企業共済だけ単独で考えず、受取時期まで含めて税理士等に確認した方が安全です。
掛金を払うと手元のお金は減る
当たり前ですが、これも忘れてはいけません。
月7万円なら年間84万円です。
税金が仮に20万円程度減ったとしても、手元から84万円の現金が出ていきます。
つまり、
84万円払う
↓
税金が減る
↓
でも84万円は自由に使える現金ではなくなる
ということです。
節税のために資金繰りを悪化させたら本末転倒です。
ただし契約者貸付制度がある
小規模企業共済には、積み立てた掛金をもとにした契約者貸付制度があります。
納付した掛金から計算された貸付限度額の範囲内で、事業資金などを借りることができます。
一般貸付のほか、
- 緊急経営安定貸付
- 傷病災害時貸付
- 創業転業時・新規事業展開等貸付
- 事業承継貸付
- 廃業準備貸付
などもあります。
積み立てたお金が完全に動かせなくなるわけではありません。
ただし貸付なので、当然返済は必要です。
銀行預金とは考えない方がいい
小規模企業共済を、
普通預金より節税できる貯金。
と考えると危険です。
銀行預金なら明日全額引き出しても元本は基本的に減りません。
小規模企業共済は、短期間で任意解約すると元本割れします。
目的が違います。
普通預金
近い将来使うお金
小規模企業共済
長期的な退職資金
法人成りしたら一度解約する?
個人事業主として加入していて、その後法人化する人も多いと思います。
この場合、条件を満たせば、必ずしも一度解約する必要はありません。
中小企業基盤整備機構には、
掛金納付月数の通算
という制度があります。
個人事業主→会社役員でも継続できる場合がある
例えば、
個人事業主として加入
↓
法人成り
↓
設立会社の役員になる
↓
役員として加入資格を満たす
↓
同一人通算
という形です。
条件を満たせば、それまでの掛金納付月数を引き継いで契約を続けられます。
法人化したから小規模企業共済を全部精算しないといけない、とは限りません。
法人化を考えている人ほど先に確認した方がいい
個人事業主から法人へ移ると、
- 国民健康保険→社会保険
- 国民年金→厚生年金
- 事業所得→役員報酬
- 個人の利益→法人利益
など、お金の流れが大きく変わります。
小規模企業共済についても、法人化のタイミングで、
- 継続
- 通算
- 受取
のどれが適切か確認した方がいいです。
小規模企業共済のメリットをまとめると
① 掛金が全額所得控除
② 月1,000円〜7万円まで選べる
③ 掛金を増額・減額できる
④ 廃業・退職時の資金を作れる
⑤ 一括受取なら退職所得扱いになる場合がある
⑥ 契約者貸付を利用できる
⑦ 条件を満たせば法人成り後も通算できる
逆にデメリットは?
① 20年未満の任意解約は元本割れ
② 12か月未満の任意解約では掛け捨てになる
③ 現金が長期間拘束される
④ 受取時に税金がかかる場合がある
⑤ 短期間だけ節税したい人には向かない
⑥ 加入資格がある人しか利用できない
小規模企業共済に向いている人
個人的には、次のような人とは相性がいいと思います。
- 個人事業を長く続ける予定
- 小規模法人の経営者
- 所得がある程度安定している
- 老後・退職資金を自分で作りたい
- 手元資金に余裕がある
- 所得控除を増やしたい
逆に慎重に考えた方がいい人
- 開業直後で現金が少ない
- 毎月の利益が不安定
- 近い将来大きな設備投資をする
- 数年以内に解約する可能性が高い
- 生活防衛資金が少ない
- 借入返済が重い
こういう状況なら、無理して月7万円入れる必要はないと思います。
「節税できるから満額」は危険
節税について考えると、どうしても、
払う税金を減らしたい。
となります。
もちろん税金は少ない方が嬉しいです。
でも事業では、
現金を持っていることも重要です。
税金を20万円減らすために、自由に使える現金84万円をなくすことが本当に正しいかは、その会社・事業によります。
「税金を払う=損」ではない
例えば84万円を共済へ入れず、その分税金が多少増えたとしても、手元にはそれ以上の現金が残ります。
その現金を、
- 広告
- 設備
- 人材
- 新規事業
- 運転資金
に使って利益を増やせるかもしれません。
節税だけを目的に経営判断をすると、逆に事業成長を止めることがあります。
それでも余剰資金があるならかなり有力
一方、
生活資金もある。
会社の運転資金もある。
投資資金もある。
それでも個人側に余剰資金がある。
この状態なら、小規模企業共済はかなり魅力的です。
使う予定のない余剰資金
↓
将来の退職資金へ
+
現役時代は所得控除
iDeCoとどっちがいい?
これもよく比較されます。
iDeCoも掛金が所得控除になる制度です。
ただし目的や受取条件が違います。
かなり簡単に整理すると、
| 小規模企業共済 | iDeCo | |
|---|---|---|
| 主目的 | 経営者の退職金 | 老後資金 |
| 掛金 | 月最大7万円 | 加入区分で異なる |
| 所得控除 | ○ | ○ |
| 運用 | 共済制度 | 自分で商品選択 |
| 資金利用 | 契約者貸付あり | 原則60歳まで引出不可 |
どちらか一方だけではなく、条件を満たせば両方利用することもできます。
小規模企業共済と経営セーフティ共済も別物
名前が似ているため混同されますが別制度です。
小規模企業共済
→ 経営者本人の退職金を準備
経営セーフティ共済
→ 取引先倒産などに備える制度
さらに税務上の扱いも違います。
今回紹介しているのは小規模企業共済です。
結局いくら掛ければいい?
これは「最大7万円だから7万円」が正解ではありません。
例えば最初は、
月1万円
↓
事業が安定
↓
月3万円
↓
さらに余裕が出た
↓
月5万円・7万円
と増やす方法もあります。
掛金を変更できる制度なので、自分のキャッシュフローに合わせる方がいいと思います。
満額7万円を検討する目安
個人的には少なくとも、
- 生活費数か月分の現金
- 税金支払い用の現金
- 事業の運転資金
- 近い将来の投資資金
を確保して、それでも余裕があるかを考えたいところです。
節税制度は、事業を危険にしてまで使うものではありません。
年末にまとめて払えば今年の控除にできる?
小規模企業共済では、月払いのほかに半年払い・年払いなどがあります。
また加入時の初回掛金について、一定条件で前納する方法もあります。
中小企業基盤整備機構では、例えば年末に加入して1年分を納付した場合、その年に支払った掛金を所得控除できるケースを案内しています。
ただし「年末に申し込めば必ず84万円控除できる」とは限りません。加入時期・納付方法・実際に支払った年などを確認してください。
利益が出てから年末に考える人が多い理由
個人事業主は年末が近づくと、その年の利益がある程度見えてきます。
そこで、
今年かなり利益出たな。
となってから小規模企業共済を検討する人もいます。
所得控除が大きいため、確かに年末の税金対策として候補になります。
ただし制度自体は長期積立です。
「今年の税金を減らす」だけでなく、「20年後まで持てるお金か」まで考えて加入する方がいいと思います。
小規模企業共済を検討するときのチェックリスト
□ 加入資格を満たしているか
□ 毎月無理なく払える金額はいくらか
□ 20年近く継続する可能性があるか
□ 手元資金は十分あるか
□ 法人化予定があるか
□ 将来、役員退職金を受け取る予定があるか
□ iDeCoなど他の制度も使っているか
「小規模企業共済=節税商品」だけでは説明不足
この制度について一番伝えたいのはここです。
確かに小規模企業共済には大きな節税効果があります。
でも、
「税金が減るから得」という一言だけでは制度の半分しか説明していません。
本質は、
経営者が自分の退職金を積み立てる
+
現役時代は掛金を所得控除できる
+
将来は退職所得などとして受け取れる
ことです。
まとめ|余剰資金がある経営者には強い。ただし短期節税目的では使わない
2026年現在、小規模企業共済の掛金は、
月額1,000円〜70,000円。
最大なら、
年間84万円。
支払った掛金は全額、小規模企業共済等掛金控除の対象になります。
個人事業主だけでなく、加入要件を満たす小規模企業の役員も利用できます。
そのため1人法人の社長にとっても有力な所得控除です。
ただし、
20年未満で任意解約すると掛金総額を下回ります。
さらに12か月未満の任意解約なら解約手当金を受け取れません。
そして将来受け取る共済金も完全非課税ではなく、受取方法などに応じて退職所得・公的年金等の雑所得・一時所得などとして扱われます。
だから、
今年税金が高そうだから84万円入れておこう。
だけで決める制度ではありません。
「今払う税金」と「将来受け取る退職金」と「現在の手元資金」の3つをセットで考える制度です。
それでも、事業が安定していて手元資金にも余裕があり、長期間事業を続けるつもりならかなり魅力的です。
特に個人事業主や1人法人の場合、会社員のような退職金制度を自分で作らなければいけません。
その退職資金を積み立てながら年間最大84万円の所得控除を利用できる。
これは普通の預金にはない大きなメリットです。
小規模企業共済は「節税のためにお金を使う制度」ではなく、「将来の自分へお金を残しながら、今の税負担も軽くできる制度」と考えると分かりやすいと思います。
入るかどうか以上に大切なのは、無理なく長く続けられる掛金にすることです。
※本記事は2026年9月5日時点の中小企業基盤整備機構・国税庁の公開情報をもとに作成しています。税額・税務上の取扱いは所得状況、受取方法、退職金の有無などによって異なります。実際の加入・受取・法人化・税務判断については最新の公式情報および税理士等の専門家へご確認ください。


