Photoshopを使うためにPhotoshopを開く。
Illustratorを使うならIllustratorを開く。
PDFを直すならAcrobat。
Adobeを仕事で使っている人なら、ずっと当たり前だった流れです。
そこが少し変わります。
Adobeは2026年9月、Google Gemini向けのAdobeコネクタを提供開始しました。
さらにClaude向けのAdobeプラグインも大幅に拡張。
Geminiとの会話からPhotoshopやLightroom、Adobe Express、Fireflyの機能を呼び出せます。
ClaudeではAcrobatまで加わり、Photoshop、Illustrator、Premiere、InDesignなどを含む80種類以上のAdobeツールが1つの会話から使えるようになりました。
「AIに作り方を聞く」だけではなく、その会話の中からAdobeのツールを実際に動かすところまで来ています。
普段Adobeを使ってWEBやデザインの仕事をしている人には、なかなか気になるアップデートです。
- AdobeがGeminiで使えるようになった
- PhotoshopそのものがGeminiになるわけではない
- Gemini×Adobeで何ができる?
- Claude側はさらにAdobeツールが多い
- ClaudeではPDFまで直接扱える
- PDFを読ませるだけではなく「直す」ところまでいく
- Adobe ExpressはClaude上で直接編集できる
- AI画像で面倒なのは「あとちょっと」
- GeminiとClaude、Adobeを使うならどっち?
- Adobeアプリはもう開かなくていい?
- デザイナーの仕事はどう変わる?
- 「ソフトを使える」が以前ほど強い武器ではなくなる
- その代わり「どう仕上げるか」は残る
- WEB制作ではかなり使えそう
- ECの商品画像とも相性がいい
- 制作会社より小さな会社の方が恩恵が大きいかもしれない
- Adobeを契約していないと使えない?
- Geminiではどうやって使う?
- Claudeではどうやって使う?
- Claude CodeにAdobeが入るのも面白い
- 「AIツールを何個使うか」より「つながるか」が大事になってきた
- Adobe自身もAIチャット側へ出ていっている
- Creative Cloudがなくなるわけではない
- まず使ってみたいのは地味な作業
- デザインAIというより「Adobeの操作窓口が変わった」
- 参考:Adobe公式情報
AdobeがGeminiで使えるようになった
Adobeは2026年9月24日、Google Gemini向けにAdobeコネクタを提供開始しました。
日本語のAdobe公式ブログでも9月25日に発表されています。
対応するのは、
- Adobe Photoshop
- Adobe Lightroom
- Adobe Express
- Adobe Firefly
など。
Geminiで「こういうものを作りたい」と伝えると、Adobe側が必要なツールや処理を組み合わせて実行します。
Adobeによると、Gemini向けコネクタはグローバルで順次提供され、すべてのGeminiプランで利用できます。
PhotoshopそのものがGeminiになるわけではない
ここは少し勘違いしやすいところです。
PhotoshopのデスクトップアプリがGeminiへ丸ごと入ったわけではありません。
Geminiとの会話から、Adobeが持っている画像編集やデザインの機能を呼び出せる仕組みです。
Adobe公式の表現では、希望する結果を説明すると、Adobeが適切なツールを選び、必要な手順を実行します。
つまり、
「Photoshopのどのメニューを使うか」
より先に、
「最終的にどうしたいか」
を伝える使い方です。
Gemini×Adobeで何ができる?
Adobeが具体例として紹介しているものを見ると、かなり実務寄りです。
単純なAI画像生成だけではありません。
商品写真をまとめて整える
たとえばECサイトの商品写真。
撮影した画像をGeminiへアップロードして、仕上げたいイメージを伝えます。
Adobeのツールを使って、
- 明るさを整える
- 色を調整する
- トリミングを揃える
- 商品写真全体の見た目を統一する
といった処理ができます。
ECの商品登録で、写真ごとにPhotoshopを開いて同じ処理を繰り返していたなら、このあたりは使い道がありそうです。
1つのデザインからSNS用画像を作る
WEBサイト用に作ったビジュアル。
そのままInstagramではサイズが合わない。
X用も欲しい。
広告用も必要。
これも制作現場ではよくあります。
GeminiからAdobeを使い、元のブランドイメージやメッセージを保ったまま、各SNS向けに展開できます。
1枚のデザインを作る作業より、こういう作ったあとの横展開の方が時間を取られることもあります。
Adobe Expressのテンプレートを使って制作する
キャンペーン内容。
ターゲット。
希望するデザインの雰囲気。
これらをGeminiで伝えると、Adobe Expressのデザインから条件に合うものを探し、テキストや画像、色を調整できます。
ゼロからレイアウトを組む必要がない制作物なら、かなり速そうです。
Claude側はさらにAdobeツールが多い
Adobeは以前からClaude向けにクリエイティブツールを提供していました。
今回、そのプラグインがさらに拡張されています。
現在は、
- Acrobat
- Adobe Express
- Photoshop
- Illustrator
- Premiere
- Lightroom
- InDesign
- Adobe Stock
など、80種類以上のAdobeツールをClaudeとの会話から利用できます。
ClaudeではPDFまで直接扱える
今回Claude側で新しく加わったのがAcrobatです。
PDFを、
- 結合する
- 分割する
- ページを削除する
- 別形式へ変換する
- 機密情報を墨消しする
といった操作ができます。
さらにPDFをインタラクティブエディターで開き、ページの並び替え、テキスト編集、コメントやハイライトの追加も可能です。
PDFを読ませるだけではなく「直す」ところまでいく
これまでAIとPDFの組み合わせというと、
「この資料を要約して」
「このPDFから○○を探して」
という使い方が中心でした。
今回はそこから一歩進みます。
内容を読ませる。
Claudeにレビューさせる。
修正候補を出す。
そのままPDFを編集する。
ひとつの流れで進められます。
AIが「ここを直した方がいいですよ」と答えるだけで終わらず、実際のファイルを直す側へ回り始めています。
Adobe ExpressはClaude上で直接編集できる
Adobe Expressにも新しいインタラクティブ編集機能が追加されています。
生成されたデザインを丸ごと作り直すのではなく、レイヤー単位で、
- 画像
- 文章
- 色
- フォント
を個別に変更できます。
ここは結構大事です。
AI画像で面倒なのは「あとちょっと」
AIでデザインや画像を作ると、最初の80%くらいまでは速い。
でも実際の仕事では、そこからが長かったりします。
ロゴをもう少し右へ。
この文字だけ小さく。
背景はそのままで写真だけ変更。
ブランドカラーに合わせたい。
AIに「もう少し右」と頼んだら全体が変わってしまう。
また生成。
今度は別のところが変わる。
こうなると普通にIllustratorやPhotoshopで直した方が早い。
Adobe Expressの新しい編集機能は、AIで作ったあとに個別要素を触れるので、この「あとちょっと」を人間が詰められます。
GeminiとClaude、Adobeを使うならどっち?
現時点では、単純にどちらが上とは言えません。
提供されているAdobe機能も違います。
GeminiではPhotoshop、Lightroom、Express、Fireflyなどを使ったクリエイティブ制作が中心。
Claudeは80種類以上のツールに加え、AcrobatによるPDF作業やExpressの直接編集まで入っています。
ただしAdobe自身も、Gemini版について今回がGoogleとの連携の「第一歩」としています。
今後ツールが増える可能性があります。
Adobeアプリはもう開かなくていい?
そこまではいきません。
Adobeも、より深い編集や精密な作業が必要な場合は従来のアプリを使う流れを想定しています。
PhotoshopにはPhotoshopの細かな操作があります。
Illustratorも同じ。
Premiereで本格的に動画編集するなら、タイムラインを直接触りたい場面はいくらでもあります。
AIチャットだけですべて完結するというより、作業の入口と単純作業をチャット側へ持っていくと考えた方が近そうです。
デザイナーの仕事はどう変わる?
こういうニュースが出ると、すぐに、
「デザイナーはいらなくなる」
という話になりがちです。
でも今回の機能を見る限り、先に減りそうなのはデザインそのものより操作の手数です。
画像を開く。
同じサイズに切る。
明るさを揃える。
SNS用へリサイズする。
PDFを結合する。
書き出す。
こういう部分。
「ソフトを使える」が以前ほど強い武器ではなくなる
Photoshopのショートカットを覚える。
Illustratorの機能を覚える。
Premiereの操作を覚える。
もちろん今後も役に立ちます。
ただ、ソフトの操作方法を知っていること自体の価値は少しずつ下がりそうです。
AIへ目的を伝えれば、適切なAdobeツールを選んで処理してくれるからです。
その代わり「どう仕上げるか」は残る
写真を明るくして。
ではなく、どこまで明るくするのか。
高級感を出して。
ではなく、その会社にとって高級感とは何なのか。
SNS用にして。
ではなく、誰に何を伝える投稿なのか。
ツールが操作を代わってくれても、完成形までは勝手に決まりません。
WEB制作ではかなり使えそう
WEB制作には「デザイン」と呼ぶほどでもない画像作業が大量にあります。
クライアントから届いた写真のサイズが全部違う。
暗い写真だけ補正する。
商品画像を同じ比率へ揃える。
OGP画像を作る。
Instagram用も作る。
提案書用に別サイズを書き出す。
1個ずつなら数分。
でも30枚、50枚となると普通に時間を取られます。
Gemini×Adobeで個人的に期待するのは、派手なAIアートよりこの辺です。
ECの商品画像とも相性がいい
Adobe自身もGeminiの利用例として商品写真を挙げています。
ECでは商品ごとに写真の見え方がバラバラだと、一覧ページでかなり気になります。
背景。
明るさ。
色味。
トリミング。
商品が写っている大きさ。
これらをまとめて揃えられるなら、商品登録の前処理がかなり楽になります。
制作会社より小さな会社の方が恩恵が大きいかもしれない
専任デザイナーがいる会社なら、Photoshopで処理すればいい。
でも小さな会社では、
社長が写真を撮る。
事務員さんがInstagramへ投稿する。
EC担当が商品写真も直す。
ということも珍しくありません。
Adobeの操作を詳しく知らなくても、
「この商品写真を明るさとサイズを揃えてEC用にして」
と頼めるなら、むしろこういう人の方が恩恵は大きそうです。
Adobeを契約していないと使えない?
Gemini向けAdobeコネクタは、Adobeアカウントでサインインして利用します。
Adobe公式では、Adobeアカウントを持っていない場合は無料で作成できると案内しています。
Claude版もゲストとして開始でき、Adobeアカウントへサインインすると、より高い利用上限や追加ツール、セッションをまたいだ継続利用などが使える仕組みです。
ただし利用できる個別機能や生成回数などは、Adobe側のサービス・契約内容によって変わる可能性があります。
料金や利用条件は実際に使う時点で公式情報を確認した方がいいでしょう。
Geminiではどうやって使う?
Adobe公式によると、Geminiの、
Personal Intelligence → Connected Apps → Adobe
から接続します。
Adobeアカウントでサインインすれば利用を開始できます。
提供は順次展開なので、アカウントによっては表示時期に差が出る可能性があります。
Claudeではどうやって使う?
Claudeでは「Adobe for Claude」プラグインを追加します。
以前のAdobe connectorをすでに使っている場合、Adobeによると新しいAdobeプラグインへ自動更新されます。
ClaudeだけではなくClaude Codeでも利用可能です。
Claude CodeにAdobeが入るのも面白い
WEB制作者としてはこちらも気になります。
Claude CodeでWEB制作を進めながら、Adobeのクリエイティブツールも同じ流れで呼び出せる。
HTMLやCSSを書くAI。
画像を扱うAdobe。
PDFやデザイン資料を扱うAcrobatやExpress。
今までは別々のアプリでやっていた作業が、少しずつ同じ作業環境へ寄っています。
「AIツールを何個使うか」より「つながるか」が大事になってきた
ChatGPT。
Gemini。
Claude。
Photoshop。
Illustrator。
Acrobat。
AI時代になって、使うサービスはむしろ増えました。
便利なのに、アプリを行ったり来たりする。
ファイルを書き出す。
アップロードする。
またダウンロードする。
この往復は意外と面倒です。
今回のAdobe連携で面白いのは、新しいAIモデルが増えたことではなく、すでに仕事で使っているAdobeツールがAIチャット側へつながったことです。
Adobe自身もAIチャット側へ出ていっている
AdobeはGeminiとClaudeだけに連携しているわけではありません。
すでにChatGPT、Slack、Microsoft CopilotなどにもAdobeツールを展開しています。
つまりAdobeとしても、
「Adobeアプリを開いてから仕事を始める」
だけではなく、
「普段使っているAIや仕事環境からAdobeを呼び出す」
方向へ動いています。
Creative Cloudがなくなるわけではない
ここも分けて考えた方がいいです。
AIチャットからAdobeを操作できる。
だからPhotoshopやIllustratorが不要になる。
という話ではありません。
細かくレタッチする。
パスを調整する。
複雑なレイヤーを組む。
映像のタイミングを1フレーム単位で詰める。
こういう仕事は、まだ専用アプリの方が扱いやすい。
ただ、その専用アプリを開く前に終わる仕事は増えそうです。
まず使ってみたいのは地味な作業
新機能を見ると、つい派手な生成機能を試したくなります。
でも仕事で使うなら、まずは、
- 商品写真の一括補正
- 画像サイズの統一
- SNS向けサイズ展開
- PDFの結合・分割
- 資料のレビュー
- Expressデザインの微修正
あたりから試したいところです。
毎日5分、10分かかっている作業。
月に何十回もやっている作業。
そこがなくなる方が、仕事では効きます。
デザインAIというより「Adobeの操作窓口が変わった」
今回のアップデートを「Geminiに画像生成機能が増えた」と見ると、そこまで新しく感じないかもしれません。
画像を生成できるAIはすでにたくさんあります。
でもAdobeがやっているのは少し違います。
Photoshop。
Lightroom。
Illustrator。
Premiere。
Acrobat。
長年仕事で使われてきたツールを、AIとの会話から操作できるようにしています。
「Photoshopでどうやる?」とAIに質問して、自分でPhotoshopを操作する。
そこから、
「これをこうして」とAIに伝えて、Adobeに処理させる。
たぶん変わるのはここです。
Photoshopを覚えなくてよくなる、というより。
Photoshopを使うために、毎回Photoshopから仕事を始めなくてもよくなる。
まずは商品画像を30枚くらい渡して、どこまで一気に揃えられるのか試してみたいです。


