WEBサイト制作を依頼するとき、制作実績や見積金額だけを見て制作会社を決めていないでしょうか。
もちろん実績も価格も重要です。
でも私は、それより前に制作会社へ聞いてみてほしい質問が2つあります。
- WEBサイトとホームページの違いは何ですか?
- レンタルサーバーとドメインはこちらで契約してもいいですか?
たったこれだけです。
この2つの質問だけで優良な制作会社かどうかを100%判断できるわけではありません。
ただ、
- WEBについて基礎的な知識があるか
- 営業だけで実制作を理解していない会社ではないか
- 発注者を自社サービスへ囲い込もうとしていないか
- サーバーやドメイン料金が透明か
- 見積金額にきちんとした根拠があるか
といったことを見るための、かなり簡単なチェックになります。
先に結論
仲介会社そのものが悪いわけではありません。問題なのは、WEBの知識も実務経験も薄いのに、昔ながらの営業トークだけで仕事を受注し、制作を丸投げしたり、不透明な管理費を上乗せしたりする会社です。
- WEB制作会社なのに、実際にはWEBを作れない会社もある
- 質問1「WEBサイトとホームページの違いは何ですか?」
- 「ホームページ・ビルダー」が言葉を一般化させたのでは?
- 質問2「サーバーとドメインはこちらで契約してもいいですか?」
- 制作会社が倒産・廃業したらどうする?
- 「うちで契約しないと制作できません」と言われたら理由を聞く
- サーバー代に必要以上のマージンが乗っているケースもある
- 自社契約なら制作会社を変更しやすい
- ドメインには「登録者」が存在する
- この2つの質問で何が見えるのか
- 「何人いる会社か」より「誰が実際に作れるのか」を見る
- 仲介すること自体が悪いわけではない
- 昔の売り文句を今でも使っていないか
- 制作会社を選ぶ側も少しだけ知識を持った方がいい
- まとめ|WEB制作会社は「実績」より先に2つ質問してみる
WEB制作会社なのに、実際にはWEBを作れない会社もある
WEB制作業界にはいろいろな会社があります。
社内にデザイナーやエンジニアがいる会社もあれば、営業とディレクションだけを行い、制作そのものは外部へ委託している会社もあります。
外注すること自体は問題ではありません。
私自身も、案件によって専門分野の人と協力することはあります。
問題なのは、
自社ではWEB制作の実務をほとんど理解していないのに、「WEB制作会社」として仕事だけを受注しているケースです。
営業担当者が契約を取り、その後は外部のデザイナーや制作会社へ丸投げする。
当然、その間にはマージンが乗ります。
それでも適切なディレクションや品質管理をしているのであれば、その費用には意味があります。
しかし、技術的な判断もできない。
トラブルが起きても自社では直せない。
制作担当者へ質問を転送するだけ。
それなのに中間マージンだけは発生する。
私は、こういう構造にはかなり疑問があります。
質問1「WEBサイトとホームページの違いは何ですか?」
まず聞いてみてほしいのが、この質問です。
「WEBサイトとホームページって、何が違うんですか?」
これは言葉尻を捕まえるための質問ではありません。
現在の日本では「ホームページ」という言葉が、WEBサイト全体を意味する言葉として一般的に使われています。
私自身、お客様との会話では相手に合わせて「ホームページ制作」という言葉を普通に使います。
だから、
「ホームページと言ったから知識がない」
という話ではありません。
見たいのは、本来どういう意味の言葉なのかを理解した上で使っているのかということです。
WEBサイトはサイト全体、ホームページは本来「起点となるページ」
私の考えでは、基本的には次のように理解しています。
- WEBサイト:複数のWEBページで構成されたサイト全体
- ホームページ:本来はそのサイトやブラウザなどの起点となるページ
たとえば企業サイトなら、
- トップページ
- 会社概要
- 事業内容
- 採用情報
- お問い合わせ
など複数のWEBページがあります。
これら全体をまとめたものがWEBサイトです。
その入り口となるトップページを、ホームページと呼ぶ考え方があります。
ただ、日本ではかなり以前から「ホームページ=WEBサイト全体」という意味で使われるようになり、現在ではこちらの意味の方が一般ユーザーには通じやすくなっています。
私が見ているのは「正解」ではなく説明できるか
ここで大切なのは、
「ホームページという言葉を使うな」
ということではありません。
制作会社へ質問したときに、
「今はほぼ同じ意味で使われています。ただ、本来はこういう違いがあります」
と説明できるのか。
それとも、
「一緒ですよ」
だけで終わるのか。
私はこの違いを見ています。
一般向けに「ホームページ」という言葉を使っていることと、本来の意味を知らないことは別です。
WEB制作を仕事にしているのであれば、一般のお客様より一段深いところまで理解していてほしい。
私はそう思っています。
「ホームページ・ビルダー」が言葉を一般化させたのでは?
これは私自身の感覚ですが、日本で「ホームページ=WEBサイト全体」という表現がここまで広まった背景には、昔から普及していたホームページ作成ソフトなどの影響も大きかったのではないかと思っています。
特に「ホームページ・ビルダー」という商品名を知っている人は多いでしょう。
パソコンでWEBサイトを作ること自体を「ホームページを作る」と表現する文化が広まり、それがそのまま一般用語として定着していったのではないか。
ただし、これは「ホームページ・ビルダーが原因だった」と断定できる話ではありません。
現在では「ホームページ=企業や店舗のWEBサイト」という使い方も完全に一般化しています。
だからこそ、制作会社には一般的な使われ方と、本来の意味の両方を理解していてほしいと思っています。
質問2「サーバーとドメインはこちらで契約してもいいですか?」
そして、個人的には1つ目よりさらに重要なのがこちらです。
制作会社へ、こう言ってみてください。
「レンタルサーバーとドメインはこちらの名義で契約します」
普通の中小企業向けWEBサイトなら、基本的にはこれで大きな問題はありません。
むしろ私は、依頼者側で契約することをおすすめしています。
なぜサーバーとドメインを自分で契約した方がいいのか
理由はシンプルです。
そのWEBサイトは制作会社のものではなく、依頼した会社のものだからです。
特にドメインは重要です。
たとえば、
example.co.jp
というドメインを10年間使ったとします。
その間に、
- WEBサイト
- メールアドレス
- 検索エンジンからの評価
- 名刺
- パンフレット
- 広告
- SNS
など、さまざまな場所でそのドメインを使用します。
もはや会社の重要な資産です。
それを制作会社名義で管理する必要があるのでしょうか。
制作会社が倒産・廃業したらどうする?
一番考えてほしいのがここです。
WEBサイトを作った会社と、この先10年、20年ずっと付き合う保証はありません。
制作会社が廃業する可能性もあります。
担当者が辞めることもあります。
対応が悪くなって制作会社を変更したくなることもあります。
そのとき、
- ドメインは制作会社名義
- サーバーも制作会社契約
- ログイン情報も教えてもらえない
- サイトデータも渡してもらえない
となったら困るのは誰でしょうか。
発注者です。
だから私は、一般的な企業WEBサイトなら、サーバーとドメインは原則として依頼者自身で契約する方がいいと考えています。
制作会社を変更できない仕組みを作ることと、適切な保守管理をすることは別です。
「うちで契約しないと制作できません」と言われたら理由を聞く
ここで、
「弊社で契約しないとダメです」
「お客様名義のサーバーでは制作できません」
と言われたら、私は少し注意します。
もちろん例外はあります。
たとえば、
- 大規模なWEBシステム
- 独自CMS
- SaaS型サービス
- 特殊なクラウドインフラ
- 負荷分散を行う大規模サイト
- 高度なセキュリティ管理が必要なサイト
などでは、制作・運用会社側がインフラを一括管理する合理的な理由があります。
だから、会社管理だから即ダメということではありません。
聞いてほしいのは、
「なぜこちらで契約してはいけないのですか?」
です。
そこできちんと技術的な説明ができるのであれば問題ありません。
逆に、
「そういう決まりなので」
「うちは全部こちらで管理しています」
「その方がお客様も楽なので」
だけでは、私は少し不安になります。
サーバー代に必要以上のマージンが乗っているケースもある
もう一つ確認したいのが料金です。
一般的な中小企業WEBサイトで利用するレンタルサーバーは、それほど高額なものばかりではありません。
ところが制作会社によっては、
実際のサーバー利用料とはかなり違う金額を、
- サーバー管理費
- システム利用料
- WEB管理費
- ホスティング費
などとして毎月請求している場合があります。
もちろん、ここも金額だけで判断してはいけません。
たとえば月額料金に、
- WordPressアップデート
- プラグイン更新
- バックアップ
- セキュリティ対策
- 障害対応
- 復旧作業
- メール設定
- SSL管理
などが含まれているなら、それはサーバー代ではなく保守サービスの料金です。
それなら当然、人件費も技術料も発生します。
問題なのは「何にいくら払っているかわからない」こと
私が問題だと思うのは、
年間数万円程度のサーバーを使っているだけなのに、説明もなく毎月高額な料金を請求しているケースです。
だから、
「サーバー代はいくらですか?」
だけではなく、
「この月額料金には何が含まれていますか?」
まで聞いてみてください。
まともな制作会社なら、
「実費のサーバー代がこれで、保守費がこれです」
と説明できるはずです。
逆に全部まとめて、
「ホームページ維持費です」
だけで済ませる会社なら、一度内訳を確認した方がいいでしょう。
自社契約なら制作会社を変更しやすい
サーバーとドメインを自社で契約する最大のメリットは、価格だけではありません。
制作会社を自由に変更しやすくなることです。
たとえば現在の制作会社の対応に不満が出てきたとします。
ドメインとサーバーを自社で管理していれば、新しい制作会社へログイン情報を渡して、移行や管理を依頼できます。
少なくとも、
「制作会社を変更するとドメインまで使えなくなる」
というような事態は避けやすくなります。
WEBサイト制作で本当に大切なのは、作った瞬間だけではありません。
5年後、10年後も自社の判断で管理できる状態にしておくことです。
ドメインには「登録者」が存在する
JPドメインの場合、JPRSでも「登録者」という考え方が明確に定められています。
登録者は、そのドメインを登録した組織や人です。
また、ドメインを管理する指定事業者を後から変更する仕組みも用意されています。
つまり、ドメインは単に制作会社が勝手に保有する「WEB制作の部品」というものではありません。
誰が登録者なのか、誰が管理できるのかを確認しておくことは重要です。
この2つの質問で何が見えるのか
改めて、質問はこれだけです。
質問1
「WEBサイトとホームページって何が違うんですか?」
ここでは、WEBの基礎知識と、それを一般の人へ説明できる力を見ます。
質問2
「レンタルサーバーとドメインはこちらで契約していいですか?」
ここでは、
- 発注者側の資産をどう考えているか
- 囲い込みを前提としていないか
- インフラの知識があるか
- 料金体系が透明か
を見ます。
この2つを聞いたときの答え方を見るだけでも、制作会社の姿勢はかなり見えてくると思います。
「何人いる会社か」より「誰が実際に作れるのか」を見る
私はWEB制作会社を選ぶとき、会社の規模はそれほど重要ではないと思っています。
スタッフが20人いる。
年間100サイト制作している。
大きなオフィスがある。
もちろん、それらが悪いわけではありません。
でも、本当に知りたいのは、
「この会社の中で、実際にWEBを作れる人は誰なのか?」
です。
営業しかできない。
デザインも外注。
コーディングも外注。
サーバーのこともわからない。
トラブル対応も外注。
それなら、その会社は何に対してマージンを取っているのでしょうか。
優秀なディレクターが全体を管理しているなら意味があります。
でも、単に右から左へ仕事を流しているだけなら、発注者側には余計なコストが増えるだけです。
仲介すること自体が悪いわけではない
ここは誤解のないように書いておきます。
WEB制作に仲介やディレクションが不要だと言っているわけではありません。
大規模案件になれば、
- プロジェクトマネージャー
- WEBディレクター
- デザイナー
- フロントエンドエンジニア
- バックエンドエンジニア
- ライター
- カメラマン
など、多くの専門家をまとめる役割が必要です。
その調整には当然価値があります。
私が問題だと思っているのは、
知識も実務能力もないのに受注だけして、中間に入ること自体をビジネスにしているケースです。
それでは発注者にとって、本当に必要な費用なのかわかりません。
昔の売り文句を今でも使っていないか
WEB業界は変化が速い業界です。
サーバーもドメインも、WordPressもSEOも、WEB制作の方法も大きく変わってきました。
それなのに、何年も前から同じ営業資料、同じ説明、同じ契約方法を使い続けている会社もあります。
特に気をつけたいのが、
- 「SEO対策をすれば必ず上位表示できます」
- 「ドメインはこちらで管理しないとSEOに不利です」
- 「弊社のサーバーでなければ安全ではありません」
- 「ホームページは5年契約が普通です」
- 「このシステムを入れれば集客できます」
といった、理由が曖昧な説明です。
重要なのは売り文句ではなく、
「なぜそうなのか?」を技術的・具体的に説明できることです。
制作会社を選ぶ側も少しだけ知識を持った方がいい
WEB制作を発注する人が、HTMLやCSSを書ける必要はありません。
サーバー構築ができる必要もありません。
それは制作会社の仕事です。
でも、数十万円、100万円以上のお金を払うのであれば、最低限の質問くらいはしてもいいと思います。
そのための質問が、今回紹介したこの2つです。
- WEBサイトとホームページの違いを説明してもらう
- サーバーとドメインを自社契約していいか聞く
専門知識がなくても聞けます。
そして回答を聞けば、かなりいろいろなことが見えてきます。
まとめ|WEB制作会社は「実績」より先に2つ質問してみる
WEB制作会社を選ぶとき、実績を見ることも見積もりを比較することも大切です。
でも私は、その前に2つ聞いてみてほしいと思っています。
1.WEBサイトとホームページの違いは何ですか?
2.レンタルサーバーとドメインはこちらで契約してもいいですか?
1つ目では、WEBについての基礎知識を見る。
2つ目では、発注者の資産・リスク・料金についてどう考えている会社なのかを見る。
もちろん、この2問だけですべてがわかるわけではありません。
ただ、何となく営業トークだけで会社を選ぶより、ずっと判断材料になります。
そして特に重要なのは、
サーバーやドメインを制作会社に握らせることを当たり前だと思わないこと。
WEBサイトは制作会社のものではありません。
発注した会社の事業資産です。
制作会社に何かあっても。
別の会社へ変更したくなっても。
自分たちで管理を続けられる。
最初からそういう状態で作っておくことが、WEBサイト制作における大切なリスク管理だと思います。
そして、こうした基本的な質問にきちんと答えられない制作会社なら、契約する前にもう一度考えてみてもいいのではないでしょうか。

