ホームページ制作の著作権は誰のもの?デザイン・画像・ソースコードは納品されたら自由に使える?【2026年版】

WEB制作

50万円払ってホームページを作ってもらった。

だったら、そのホームページは全部自分のもの。

デザインも自由に変更できるし、別の制作会社へデータを渡して作り直してもいい。

そう思っている人は多いと思います。

でも、法律上はそれほど単純ではありません。

制作費を支払ってホームページを納品してもらっただけでは、デザインや画像などの著作権まで自動的に発注者へ移るとは限りません。

逆に制作会社側も、

「うちが作ったから全部うちのもの」

で済ませられるわけではありません。

写真はカメラマン。

イラストはイラストレーター。

フォントはフォント会社。

WordPressにはテーマやプラグイン。

ひとつのホームページの中に、いろいろな権利が混ざっています。

今回は、ホームページ制作を依頼したときの著作権とデータの扱いについて整理します。

ホームページを作ったら著作権は誰にある?

文化庁は、依頼を受けて作品や成果物を制作した場合、著作権は原則として制作した側に帰属すると説明しています。

つまり、会社が制作会社へホームページを発注したからといって、発注した会社が自動的に著作者になるわけではありません。

お金を払ったかどうかとも別です。

たとえばロゴをデザイナーへ依頼した場合。

30万円払って納品された。

その30万円は「ロゴ制作の仕事」に対する報酬です。

そこに著作権の譲渡まで含まれているかどうかは、契約内容を確認する必要があります。

「制作物を納品してもらうこと」と「著作権を譲ってもらうこと」は別です。

著作権は作った時点で発生する

著作権は、特許のように申請して初めて発生する権利ではありません。

文化庁によると、著作物を創作した時点で自動的に発生します。

そのため、

「著作権登録していないから権利はない」

というわけでもありません。

会社の社員が作った場合は話が違うこともある

制作会社の社員が業務として制作したものについては、一定の条件を満たすと法人などが著作者になる「職務著作」が成立する場合があります。

誰がPhotoshopを操作したのかだけを見れば決まる話ではありません。

この記事では細かな法的判定まで踏み込みませんが、少なくとも発注者側から見れば、

「制作会社から納品された=自社が著作者」ではない

と考えておいた方がいいでしょう。

制作費を払えば自由に改変していい?

ホームページは公開したあとに変更します。

文章を直す。

写真を変える。

ページを追加する。

数年後にはリニューアルする。

むしろ一度も変更しないサイトの方が珍しい。

だからホームページ制作では、著作権そのもの以上に、

納品後にどこまで自由に使える契約になっているか

が大事です。

著作権を譲渡してもらう方法

契約で著作権を発注者へ譲渡する方法があります。

文化庁も、著作権は発注者や第三者へ譲渡できると説明しています。

ただし契約書で単に、

「著作権を譲渡する」

と書けば、あらゆる権利について何でも解決するわけではありません。

文化庁は、著作権法27条・28条に関する権利について、譲渡契約で明記されていない場合は譲渡されない扱いになることを案内しています。

大きな案件で著作権譲渡を条件にするなら、契約文面は専門家へ確認した方が安全です。

著作権を譲渡しなくても利用許諾はできる

もうひとつの方法が利用許諾です。

著作権そのものは制作者が持つ。

でも発注者には、ホームページとして公開・更新・修正する権利を認める。

実務ではこちらでも問題なく運営できるケースがあります。

重要なのは、どちらが絶対に正しいかではありません。

あとで、

「そんな使い方は認めていない」

「制作費を払ったんだから自由にできると思っていた」

と揉めない状態にしておくことです。

デザイン・HTML・CSS・写真は全部同じ権利ではない

ホームページを「ひとつの制作物」と考えると分かりにくくなります。

実際にはいろいろな部品でできています。

  • WEBデザイン
  • 文章
  • 写真
  • イラスト
  • ロゴ
  • HTML・CSS・JavaScript
  • WordPressテーマ
  • プラグイン
  • フォント
  • 動画

それぞれ制作者も利用条件も違う場合があります。

文化庁も、ホームページのような編集物では「全体」の著作者と、写真など個々の「部品」の著作者が異なる場合が多いと案内しています。

写真はカメラマンが撮っているかもしれない

制作会社へまとめて発注したとしても、撮影だけ外部カメラマンへ依頼していることがあります。

その写真を、

ホームページで使っていい。

SNSでも使っていい。

チラシにも使っていい。

広告にも使っていい。

どこまで許可されているかは契約次第です。

WEBサイト用として撮影した写真を、数年後に別会社の広告へ勝手に使っていいとは限りません。

素材サイトの写真は「買った」のではなく利用権の場合が多い

Adobe Stockなどのストック素材も同じです。

料金を払ってダウンロードしたから、その画像の著作権を買った。

というわけではありません。

基本的にはライセンス条件の範囲で使用します。

制作会社からホームページを引き継いだあとも、素材の出所やライセンスが分からない状態は避けたいところです。

「元データをください」は著作権とは別の話

制作後によく出るのがこの問題です。

「Illustratorデータもください」

「PhotoshopのPSDをください」

「Figmaデータを全部ください」

「動画の編集データもください」

発注者としては、制作費を払ったのだから当然もらえると思うことがあります。

でもこれも契約次第です。

完成した成果物を納品することと、その制作に使った編集可能な元データまで納品することは別に決めておいた方がいいです。

完成データと制作データは違う

たとえば名刺制作なら、

印刷用PDFを納品。

Illustratorの.aiデータは制作会社で保管。

という契約もあります。

WEBならもっと複雑です。

Figma。

Photoshop。

Illustrator。

After Effects。

撮影RAWデータ。

制作途中のラフ。

何を「納品物」とするかは事前に決められます。

欲しいなら発注前に確認する

完成後に、

「当然もらえると思っていました」

と言うより、見積もり段階で確認する方が早いです。

自社で今後編集したい。

別の制作会社へ引き継ぐ可能性がある。

広告や印刷物へ転用したい。

そういう予定があるなら最初に伝えます。

ホームページを別の制作会社へ引き継げる状態にしておく

僕はここがかなり大事だと思っています。

制作会社は永久に同じとは限りません。

担当者が辞める。

制作会社が廃業する。

対応が悪くなる。

料金が合わなくなる。

数年後に違う会社へリニューアルを頼む。

普通にあります。

サーバー・ドメインだけ自社契約でも足りない場合がある

サーバーとドメインが自社名義なら、それだけで完全に安心とも限りません。

WordPressの管理者権限がない。

有料テーマの契約が制作会社名義。

プラグインのライセンスが制作会社のアカウント。

写真素材の利用条件が分からない。

制作データを一切もらえない。

こうなると移管時に困ります。

制作会社を変えられない仕組みは避けたい

もちろん、保守契約を終了したら有料プラグインのライセンスまで無料で継続してくれ、という話ではありません。

そこは別です。

でも、

「うちを解約したらサイト自体が使えません」

「データは一切渡せません」

「別会社が触ることは禁止です」

となっているなら、契約前に理由を確認した方がいい。

特殊なシステムやSaaSなら別ですが、普通の企業サイトなら、将来的な引き継ぎ方法くらいは聞いておきたいところです。

WordPressテーマ・プラグイン・フォントは譲渡できないこともある

発注者へ著作権を譲渡する契約にしたとしても、制作会社が第三者の権利まで譲渡できるわけではありません。

たとえば有料WordPressテーマ。

有料プラグイン。

WEBフォント。

ストックフォト。

外部ライブラリ。

それぞれにライセンスがあります。

「ホームページの著作権全部譲渡」で全部解決しない

制作会社が自分で作った部分については契約できます。

でも第三者から利用許諾を受けているものまで、勝手に著作権を発注者へ渡すことはできません。

だから実際の契約では、

自社制作部分。

第三者素材。

オープンソース。

ライセンス製品。

このあたりを分けて考えます。

実績として制作会社のサイトへ掲載されることもある

もうひとつ確認したいのが制作実績です。

ホームページ完成後、制作会社が、

「株式会社○○様のWEBサイトを制作しました」

と自社サイトやSNSへ掲載する。

よくあります。

文化庁によると、著作権が制作者側に残っている場合でも、秘密保持契約など別の契約条件には注意が必要です。

逆に著作権を発注者へ譲渡している場合、制作者が実績として掲載するには原則として発注者の同意が必要になるケースがあります。

制作実績掲載の可否も契約書へ

制作会社側なら、

「制作実績として自社WEBサイト・SNS等へ掲載できる」

という条項を入れておく。

発注側で公開されたくない事情があるなら、契約前に伝える。

公開後に揉めるよりずっと楽です。

ホームページ制作を依頼する前に確認したいこと

法律の条文を全部理解して発注する必要はありません。

ただ、契約前に最低限これくらいは聞いておくと安心です。

  • WEBサイトの著作権はどちらに帰属するか
  • 納品後に自社で文章・画像を変更できるか
  • 別の制作会社へ改修を依頼できるか
  • Figma・Illustrator・Photoshopなどの元データは納品されるか
  • 写真・動画の利用範囲はどこまでか
  • 有料テーマ・プラグインのライセンスは誰名義か
  • ストック素材はどのライセンスで使用しているか
  • 契約終了時に何を引き渡してもらえるか
  • 制作会社が実績として掲載するか

これだけでも後のトラブルはかなり減ります。

「著作権譲渡してください」だけで終わらせない

発注側も、何でも著作権譲渡にすればいいとは思いません。

必要なのは、その会社が将来困らないことです。

自社サイトを更新できる。

別会社へ引き継げる。

必要な素材を別媒体でも使える。

一方で、制作会社独自のプログラムや汎用パーツまで全部譲渡しろとなると、制作費や条件が変わることもあります。

何に使いたいのかを決めて契約する方が現実的です。

制作費を払った=全部自分のもの、ではない

ホームページ制作は、完成した物体を買う取引とは少し違います。

デザイン。

プログラム。

写真。

文章。

フォント。

外部サービス。

複数の権利やライセンスが組み合わさっています。

だから「50万円払ったんだから全部自分のもの」と思い込むのも危ないし、制作側が「全部うちのものだから他社には触らせない」と囲い込むのも違うと思います。

大事なのは、公開したあと。

3年後に担当会社を変えたくなったとき。

5年後にリニューアルするとき。

そのとき普通に引き継げる状態になっているか。

僕なら制作会社を選ぶとき、著作権という難しい言葉より先に、こう聞きます。

「将来、御社以外の会社にサイトを引き継ぐことになった場合、何を渡してもらえますか?」

この質問への答えで、その会社の考え方は結構見えると思います。

参考:文化庁公式情報

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